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大切な資産を守るために ~民事信託(家族信託)について考える~

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2023/07/02

大切な資産を守るために ~民事信託(家族信託)について考える~

資産を守る

 

財産の管理や相続に関連して、メディアなどで「民事信託」「家族信託」という言葉を聞いたことはあるものの、実際にどのような制度なのかまではよくわからない、と思っている人もいるでしょう。「民事信託(家族信託)」は、高齢者の財産管理や財産継承の一つの方法として、近年、注目されている制度です。今回は、その「民事信託(家族信託)」の主な特徴を紹介していきましょう。

 

※家族信託は民事信託という枠組みの中の1つで、家族と結ぶ非営利の信託契約を意味します。

 

 

まず、民事信託とはどのような制度でしょうか

 

 

民事信託

 

民事信託の仕組みは、委託者(財産の所有者)が受託者(財産を託される人)に資産の所有権を移転し、受益者(利益の受取人)がその資産から発する利益を受け取ります。民事信託に関わる人は「委託者、受託者、受益者」の3者です。

 

受託者は信頼できる人であれば、家族である必要はありませんが、多くの場合は家族内のある人(例えば父親)が、家族内の他の人(例えば子ども)に財産を託すというものになります。このように家族内で行われる形は、家族内の信託として「家族信託」とも呼ばれています。

 

委託者と受益者が同じ人物で、財産の管理や運用のみを受託者に任せて、利益を受け取るケースもあります。また、受託者と受益者を複数の人に設定することもできます。

そして、信託契約をすることにより、財産の「所有権」は委託者ではなく受託者が預かる形となります。

 

 

 

民事信託の目的と背景は?

 

 

高齢化

 

高齢化社会の到来と認知症の増加により、民事信託が注目されるようになりました。

 

それは、平均寿命が伸びるにしたがって、資産を適切に管理することが難しい世帯が増えてきていることが一つの要因と言えます。また、今は健康な人でも、将来の認知症発症に備えて、早めの対策を講じておく必要性が出てきている、そのような背景もあります。

2006年12月に信託法が改正され、民事信託の活用が徐々に増えつつあります。もともと、高齢者や認知症罹患者などの財産管理や重要な手続きの支援として「成年後見制度」があります。ですが成年後見制度は、民事信託と比べて、手続きが煩雑で、柔軟性も高くありません。そこで、より自由度が高く、財産の管理や相続が可能な民事信託が、ここ数年で注目されるようになってきたのです。

 

 

 

民事信託でできること

 

 

財産活用

 

成年後見制度では、成年被後見人の財産の積極的な運用や処分行為は基本的にできません。必要に迫られてそれをおこなう場合は家庭裁判所の許可が必要です。

 

その点、民事信託(家族信託)では、例えば不動産売却などの資産運用や、相続税対策のための支出など権限内であれば、家庭裁判所の許可など必要なく幅広い運用・処分ができるため、柔軟に財産を管理することができます。

また、民事信託では、財産活用のしかたに基本的に制限はありません。例えば、「先祖代々からの土地は絶対に手放さないというような厳しい制限をかけることもできます。

 

 

◆健康なうちから死後までの管理方法を定めることができる

 

 

財産の管理方法

 

生前の健康なうちか、死後においても、財産の管理や運用方法・利益の譲渡先・財産の継承などを設定することができます。

 

通常、設計当初の受益者は委託者自身です。

例えば、委託者は、将来自分の判断能力がなくなった場合に備えて(将来の自分自身のために)、財産を受託者に託します。そして、最初の受益者が亡くなった時の場合に備えて、あらかじめ次の受益者を定めておくことができます。

具体的に言うと、最初の受益者を自分自身に、2番目の受益者を妻に、妻が死亡した時は、長男を3番目の受益者と定めておくことができるのです。

 

 

◆財産の管理と利益、財産相続の分配を細かく定めることができる

 

 

財産相続

 

委託者は、財産の管理者である「受託者」を自由に選ぶことができます。また、利益を受け取る「受益者」も委託者が選べます。さらに、不動産や株式、金銭など財産相続の分配を、生前に定めることができます。

あくまでも委託者が受益者を自由に定めることができますが、死後に相続人同士で揉め事が起こらないよう、なるべく事前に相続人と相談しておく方が、よいでしょう。

 

 

 

◆将来を見据えて相続人を定める、残された人に確実に財産を譲渡できる

 

 

財産譲渡

 

民事信託を利用すれば、受託者が責任を持って財産を管理するため、確実に財産を受益者へ譲渡できます。例えば、受益者が管理能力のない、高齢の両親や配偶者、障害のある子どもなどでも、確実に財産から生じる利益を委託者から受益者に譲渡できるということです。

 

 

民事信託の利用を検討すればよいケースは?

 

 

民事信託利用ケース

 

 

「事業承継や資産承継を柔軟に進めたい」「不動産の管理や相続対策をしたい」「認知症になる前に財産の管理を考えたい」などが民事信託の利用に向いています。

 

具体的なケースとしては、

      • 自分の財産を、自分の判断能力が低下した後、または死後、有効活用したい
      • 経営にはまだ関わっていたいが、株式は後継者に継承させたい
      • 障害のある子どもがいて、その行く末に心配と不安がある
      • 次の世代だけでなく、次々世代以降も財産の承継先を決めておきたい
      • 子どもの嫁など、親族に財産を承継させたくない者がいる
      • 両親が高齢で認知症発症や特殊詐欺の被害にあわないかが心配
      • 相続税の負担が心配で、両親に代わって相続対策をしておきたい

などが挙げられます。

 

 

最後に

 

 

民事信託の手続きは、実際に進めるとなれば司法書士に任せることが多くなります。日住サービスでは司法書士事務所と提携し、民事信託を含め、ライフプランの確認など多くのサポートを行っています。是非お近くの営業所でお気軽に相談してみてください。